現在のワープロやパソコンなどのキーボードは、そのほとんどすべてが長年タイプライターで培われた技術が、
そのままの形で活かされています。ここでは、そのいくつかを紹介しましょう。

皆さんは、パソコンのアルファベットのキー配列が、
何故あのような形(左上からQ・W・E・R・T・Y・・・)になったかを知っていますか?
この配列の元は、実はタイプライターのキー配列から来ています。
これには諸説ありますが、一般的には1872年に、本校のタイプライターにもある
アメリカのRemington社が初めて採用したとされています。
1868年、タイプライターの父と呼ばれる、アメリカ人のショールズが
彼にとって最初のタイプライターを作ったとき、そのキー配列はアルファベット順に2列に並んだものでした。
しかし、そのタイプライターはタイピング(文字を打つこと)が早くなればなるほど、
文字を打ちつけるコマが互いに衝突して絡み合い、
文字が打てなくなるどころか、結果として故障してしまうというひどいものでした。
そこでショールズは、文字が衝突しないようなコマ配列を考え出し実用化したのです。

それが今、世界中のキーボードのほとんどで採用されている配列・・・Qwerty配列なのです。
一見、アルファベット順の方が早く打てる気がしますが、タイプライターの機構上の問題で、
わざと打ちにくい配列にしたことが、かえって早いタイピングを可能にしたとは皮肉なものです。
しかし、一度この配列が一般的になると、理論的にはQwerty配列よりも優れたドゥボルザーク配列など、
いくら打ちやすい配列を見つけ出しても結局普及せず、現在までの134年間、
変わらず用いられていることは、いかにこの配列が優れているかの証明にもなります。
わが国でも「親指シフト」、「カナモジカイ(仮名文字会)式配列」など、
ワープロや和文(カナ)タイプライターのキーボードとして
色々考え出されましたが、近年インターネットの普及により、
かな入力よりもローマ字入力が一般的となり、
今日現在、ワープロ・パソコンを問わず、ほとんどのキーボードでQwerty配列が採用されるようになりました。
余談ですが、タイプライター(Typewriter)という言葉をQwerty配列で打つためには、
1行目で事足りるように出来ています。
これは、ショールズの遊び心だったのかも知れません。

Qwerty配列だけでなく、Shiftキーもタイプライターから来た考え方です。
欧米の言語(アルファベット)は、漢字などがない代わりに、
最初の文字を大文字にすることが特徴ですが、
初期のタイプライターはこの機能がなく、文字はすべて大文字でした。
そこでShiftキーを押すことによって、同じ文字でも大文字と小文字を
打ち分けられるように考え出されたのです。
これもQwerty配列と同じアメリカのショールズの発明で、
Remington社の製品でRemington2という機種で用いられたのが最初です。
(ちなみにShiftには「変更」とか「入れ替え」などの意味があります。)
しかし、現在では基本的に小文字が中心であり、
大文字を打つときにShiftキーを打つような構成になっています。